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2014年9月の1件の記事

2014年9月 4日 (木)

2014年7〜8月に読んだ本

 気がつくとモバイル通信で1ヶ月7GBの制限が出来ていて,毎月末になると通信速度が極端に遅くなりネットアクセスが殆ど出来なくなりました.だからというわけではありませんが,相変わらずブログの更新が滞っています.こういうのは,ある程度,ペースを作ってやらないと,更新の間が空いてしまいますね.

 7〜8月は,最近よく読む古代史系に加え,昆虫,植物,そして夏らしく心霊系の本を読んでみました.

 

○ 古代史謎解き紀行II: 神々の故郷出雲編 (新潮文庫) 関裕二著 293p.新潮社

 先月,Ⅰの封印されたヤマト編を読みました. 関氏が通い詰めた奈良を題材にしたⅠに比べ文章はややぎこちないように感じますが,後半のアメノヒボコや神功皇后に関する見解は余り知らなかった(思いつ かなかった)ので大変興味深く感じました.次のⅢを読めば氷解する部分もあるのかもしれませんが,全体的な整合性が説明し切れていないので,十分熟した全体的な見解が読みたいと思いました.

 

○ 伊勢神宮 式年遷宮と祈り (集英社新書) 石川梵著・河合真如監修 254p.集英社

 今回(第62回),前回(第61回)の式年遷宮の写真を撮った写真家による,撮影した写真で綴った遷宮や日々の祭祀についての歳時記風の読み物.個人的にも前回の式年遷宮の前後と今回の式年遷宮の前に神宮を訪れているので,何となく著者に親近感を憶えました.

 気楽に読めるが,以外に知らなかった知識が散見されていて興味深い.内宮に入るためにみんなが渡る立派な宇治橋,その確実な記録は意外に新しく中世になってからで,しばしば洪水で壊され,神職が川を渡れず神事に差し障りがあったということは知りませんでした.内宮外宮とも神域ともいえる部分に入るには橋が架かっていて色々な意味での境界を演出・示していたと思いますが,何故,日々の神事に支障があるような造りにしたのかが合点がいきません. そういえば,熊野本宮の旧社地はそもそも河原の中州にあり橋が架かっておらず川を渡ることで禊をしたのではないかと読んだことがありますし,同じく和歌山県の日前宮(日前神宮と國懸神宮)を訪れた際も堀に架かる橋を渡り,この神社は実は(古墳の外周の掘りを渡った)古墳の中に建っているのではないかと思ったことがありました.これらも何らかの意図があっての構造なのかもしれません.その他,2011年に訪れた際にちょっと気になった内宮正殿の近くにあった御稲御倉,ここに新殿完成まで内宮の心御柱の御料木が納められることや正殿と同じ唯一神明造りであることなど読んで次に行く機会があればもう少しじっくり見たいと思いました.また,かつては僧や僧形,法体の人は御正宮前での参拝が禁止され,風日折宮橋を渡った付近にあった僧尼拝所から遙拝していたというのも知りませんでした.西行法師が有名な「何事の おわしますをば知らねども かたじけなさに涙こぼるる」を読んだのも,この橋を渡った辺りなのかもしれませんね.まだ2011年の伊勢訪問記事が書き終わっていませんが遷宮が終わった新しく静かな神宮に行きたくなりました(もちろん,来る福招き猫まつり catとんこつらーめん金星 noodleshine).

 

○ カヤツリグサ科ハンドブック 勝山輝男・北川淑子著 88p.文一総合出版

 「葉っぱの細いの」,「草」等と十把一絡げにされがちなカヤツリグサ科の生植物をスキャナーやデジカメで記録したハンディな写真図鑑.図鑑類は同定(種の判別)がしやすいことが一つのウリと思いますが,どのような図や写真を掲載し特徴や近縁種との区別を理解させるかが大きなキーになります.本書は スキャナーで撮られた花序の画像は標本の同定(種の判別)に,野外の生態写真は立体的な特徴や生え方の雰囲気が判りやすく野外に生えている植物の同定にと,それぞれ便利であり,そこが本書の工夫なのだと思います.なにより掲載種をよく理解した人が撮影した画像が用いられているので判りやすいと思います.

 

○ 神社が語る 古代12氏族の正体(祥伝社新書) 関裕二著 308p.祥伝社

 またまた買ってしまった関氏の本.氏族別になっているので古代史の全体的な氏の主張が判りづらくなっています.

 

○ ゲッチョ昆虫記―新種はこうして見つけよう 盛口満著 213p.どうぶつ社

 国内にあっても沖縄では昆虫はまだまだ新種記載が出来るし,それ以前に色々判っていないことが身近(沖縄だけ?)にも転がっているんだなと関心しました.読んでいて楽しいのはもちろんですが,この本の売りは巻末の岩崎卓爾氏の年表の資料的価値にあると思います(もちろん本文中の岩崎卓爾氏関連の話もです).

 

○ 古代史謎解き紀行III: 九州邪馬台国編 (新潮文庫) 関裕二著 284p.新潮社

 ここから8月に読んだ本です.7月に読んだⅡの続編.Ⅱで出てきたが読んで説明不足でしっくりこなかったアメノヒボコと神功皇后についての主張もおおよそ理解できました.それにしても,色々な方が古代史について様々な説を唱えられていますが,それだけ魅力があるのでしょうね.できれば,色々な説を組み合わせて,より全体として整合性のとれた統合された見解を誰かが書いて欲しいです.

 

○ 逆説の日本史〈2〉古代怨霊編 (小学館文庫) 井沢元彦著 525p.小学館

 文庫本なのに525ページは分厚く読み応えありすぎです.聖徳太子や天武天皇が怨霊であるという理由は面白いのですが,結局,彼らの正体が誰だっ たのかもっと深掘りして欲しかったです.といいつつ<3>では万葉集の謎が取りあげられるようなので期待しています.

 

○ 霊感添乗員MoMoの幽霊の出る宿 (竹書房文庫) MoMo著 189p.竹書房

 実はずっと昔,この方(MoMoさん)のHPを 見ていました.8月のお盆のTVの心霊特集でMoMoさんが出ていて(残念ながら顔ナシ),懐かしくなって久しぶりにHPを覗いたら本が出るというので既刊とともに買っちゃいました.で,こちらは既刊.HPに載っている話なのですが久しぶりだったり追加された話があったりで楽しく?読むことが出来ました. 一人旅でお泊まりが怖くなりそう coldsweats01

 

○ 幽霊の出る旅 (竹書房文庫) MoMo著 189p.竹書房

 上記既刊とともに買った新刊本.既刊本は各話ともHP掲載とほぼ同じ文章量でしたが,こちらはボリュームアップして1話1話が詳し目に書かれています+書き下ろしの話も載っていました.怖い話も多いですがHな話題も載っています.生前の仕事を今も続ける幽霊に何となく日本人の生真面目さを感じました.海外のお話も載っていますが幽霊のキャラや宿の反応(日本では隠すのが不通だが米英ではウリにしていたり)があって比較文化(民俗?)的に面白そう.国内の空港でS島(サイパン島のこと?)から帰ってきた団体旅行者の背中に血だらけの戦没者の霊が日本の発展を見て満足そうにおぶさっていたいたという話「おかえりなさい」は泣けました.合掌.

 

○ 昆虫はすごい (光文社新書) 丸山宗利著 238p.光文社

 昆虫の分類学者が楽しんで書いた昆虫の凄さ・不思議さを書いた本.純粋な分類というよりは昆虫の進化・多様化といった視点から書かれています.擬態や様々な段階の共生などについて,ご専門の好蟻牲昆虫やアリだけでなく幅広い昆虫群を例示していて読んでいて飽きません.

 

○ 逆説の日本史 (3) (小学館文庫) 井沢元彦著 439p.小学館

 期待していた万葉集の部分,作成動機はある程度納得のゆくものでしたが,<2>の聖徳太子や天武天皇同様,柿本人麻呂の正体に迫って欲しかったです.次巻では古今和歌集の話に続くようです.高田崇史氏の小説「QED 六歌仙の暗号 (講談社文庫)」での主張との関係も気になります.また買ってしまいそうです.

 追伸:雑誌連載当時は,それだけ反響があったということなのでしょうが,怨霊,怨霊,と文庫本化された3冊目に至っても同じ理屈が繰り返され,本のボリュームの多くを締めるのは正直ちょっと閉口です.

 

○ 私、食虫植物の奴隷です。 木谷美咲著 239p.水曜社

 以前読んだマジカルプランツ 食虫植物・多肉植物・ティランジアをおしゃれに楽しむ」 を書いた方による,身も心も食虫植物捧げ中のマニアによる食虫植物とそれを巡る人々を好き勝手に書いた本.個人的にも栽培は離れたとはいえ幽霊部員として現役のつもりなので,顔を知っている人,多分あの人と思いつく人が載っていたりして,臨場感あふれて面白く読めました.業界事情にも良く通じていらっしゃるし,栽培だけでなく,自生地巡り,マニアの栽培場や生産農家・兵庫県立フラワーセンター見学などなど,精力的に活動されていて羨ましいです.栽培場や生産 農家は現役をはなれても,つい心が惹かれ読んでしまいました.というわけで,食虫マニアなら,とっても楽しく読めること請け合いの本ですが,傑作なのは食虫植物や昆虫を食べる後半の部分.ウツボカズラ飯って,蓋の空く前のピッチャーを使うんじゃないかとツッコミつつ読み始めましたが,筆者の軽快な文章もますます冴えてきて所々笑ってしまいました.ううっ,マニアック!

 

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